皆さんは「平和構築」とは何か説明できますか?
文字通り、平和を構築する(作り上げる)ことなのですが、今回は、平和構築の内容について分かりやすく解説します。SDGsや日本政府のODAでも平和な社会の実現が目標となっており、人間の安全保障とも絡めて説明されるなど、国際協力業界でも注目の分野です。
平和構築とは
戦争から平和への移行期にある国や地域を支援すること(引用元:国連広報センター )
簡単に言い換えると、以下のように言えます。
そのため、平和構築が扱う分野は、人道支援と似た部分も多いですが、その内容は多岐に渡ります。
食料が足りなければ、食料を調達したり、医療体制が不足していれば医者を派遣したり、医薬品を調達したりします。法整備支援も重要な支援のひとつです。
戦争のために難民となってしまった人々が帰国できるよう支援すること(難民の帰還)も平和構築の一つであり、戦争で兵士となっていた人々の武装解除(戦争で使用していた武器の回収など)も、平和構築に含まれます。
平和構築と選挙
現在の国連による平和構築では、公正な選挙を行うことが一つの区切りとなっています。
なぜ、選挙が重要なんでしょうか?
理由は、無事に選挙を終えることができれば、内戦状態から民主主義による統治に変わったと見なせるからです。
そもそも選挙とは、その国の人々が自分の意思で自由に「Aさんに政治を行ってほしい!」と投票することです。戦争や内戦の最中に選挙が行われたとしても、実権を握っている軍の考えに反する人に投票すると、自分やその家族の身に危険が及ぶ可能性があります。そのため、自由で公正な投票は非常に困難です。
だからこそ、平和な社会が作られ、皆が自由に投票ができるようになったと示すことが、平和構築における選挙であり、大きな意味を持つのです。もちろんその国にとっても、平和で自由な社会が作られたことを象徴する選挙となります。
しかし、上記のような選挙を行おうとすると、平和で自由な社会の実現に反対する元軍の関係者や、テロリストによる投票所の襲撃が起こる恐れがあります。また、政治家が賄賂を使ったり、選挙管理をする組織が、集めた票をあらかじめ用意した別の票に差し替えたり、違法なやり方で選挙に勝とうとする危険性もあります。
そこで、国連はPKO(国際連合平和維持活動)の管轄のもと、選挙を監視する組織(国連選挙監視団)を作り、国際的な監視のもとで、無事に選挙が行われるように尽力します。
選挙監視には、NGO(非政府組織)も参加しており、NGOがインターンシップなどで学生を応募することもあるので、興味がある方は求人情報を探してみてください。募集は国連フォーラムのメーリングリストへの登録、もしくはJICAが運営するPARTNERにて行われることが多いです。
もちろん危険を伴うことを重々承知の上で参加して欲しいですが、平和構築の現場を肌で感じる貴重な体験ができるはずです!
まとめ
この記事をまとめると以下のようになります。
- 平和構築とは「戦争や内戦が終わった国で、平和な社会を作るための支援」を意味する。
- 選挙の実施が平和構築の大きな区切りとなる。
- 選挙監視は学生でもインターンシップ等で参加できる可能性がある。
私も学生時代にNGOの選挙監視団として東欧を訪れました。
紛争後の国がどんな場所なのか、平和構築はどの様に行われているのか、実際に自分の経験を通して学ぶことができ、とても刺激的で勉強になりました。特に、私が選挙監視を行っていた隣の選挙区で暴動があり、選挙を成功させるために、私が選挙監視を行った選挙区の投票所にも国連軍が沢山配備された様子は忘れられません。平和構築や人道支援に興味がある学生の方は、是非そうしたインターンシップ等を探してみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございました!
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