国際協力について勉強していると、人道支援や人道援助という言葉を耳にすることがあります。最近ではウクライナやアフガニスタンに関する国際報道でも人道支援のあり方を聞きますね。この記事では、言葉からはなかなか想像するのが難しい人道支援について説明します。
1. 人道支援とは
そもそも、人道とは、「人として守り行うべき道」(*1)という意味で、人として当たり前にやるべき倫理的・道徳的なことを指します。
外務省のホームページを見ると、人道支援とは、以下のように義されています。「緊急事態またはその直後における,人命救助,苦痛の軽減,人間の尊厳の維持及び保護のための支援」(*2)。分かりやすく言い換えると、人道支援とは、戦争や災害など、色々な理由で命が危険にさらされている人や、人としての権利が侵害されている人に対する支援のことを指します。
例えば戦争で傷ついた人々、自分の国から逃げなくてはならなかった難民、地震や津波の被害にあった人々などに対する支援です。その対象は広く、多岐に渡ります。
2. 人道支援を行う上で大切な4つの基本原則
人道支援は対象が広いので、国際協力に関わる人は、ボランティアやインターン、仕事などで関わる可能性が大いにあります。その際には、「4つの基本原則」気を付ける必要があります。これらは、国際的にも基本原則とされており、人道支援の現場でも、とても大切にされています。外務省のホームページでは以下のように説明しています。(*3)
(1) 人道原則: どんな状況にあっても、一人ひとりの人間の生命、尊厳、安全を尊重すること。(2) 公平原則: 国籍、人種、宗教、社会的地位または政治上の意見によるいかなる差別をも行わず、苦痛の度合いに応じて個人を救うことに努め、最も急を要する困難に直面した人々を優先すること。(3) 中立原則: いかなる場合にも政治的、人種的、宗教的、思想的な対立において一方の当事者に加担しないこと。(4) 独立原則: 政治的、経済的、軍事的などいかなる立場にも左右されず、自主性を保ちながら人道支援を実施すること。
噛み砕いて説明すると、以下のようになります。
(1)人道原則
最も重要視されるのは、人間の「生命を守る」「人としての尊厳を守る」「安全を確保する」こと。
(2)公平原則
支援を受ける人を差別せず、いかに緊急性が高いかを優先する。
(3)中立原則
支援を受ける特定の人・グループに肩入れしない
(4)独立原則
自己の利益などの様々な思惑に囚われず、支援を受ける人への支援を第一に考える。
例えば相手が自分の嫌いな宗教を信じていたり、自分とは違う考え方をする人であっても、それを理由に支援しないのは、差別をしていることになります。どんな相手であっても、平等に支援することが大切です。また、現場に行くと困っている人がたくさんいて、誰から助けたら良いのか迷ってしまう場合には、その中で一番早く助けが必要な人を優先してください。例えば、けが人であれば、けがの程度を見極め、すぐに治療が必要な人から治療します。
また、支援は政治的な理由(例えば選挙で勝つためなど)や経済的な理由(紛争後にお金儲けをするためなど)、軍事的な理由(今助ければ後々戦争で兵士として派遣出来たり、自分の国の見方になってくれたりなど)で行うのではなく、あくまで、人道的な理由(人として守り行うべきだから支援する)でやる必要があります。
みなさんも、人道支援に関わる際には、4つの原則を意識して行動してみてください。きっとより良い支援につながるはずです。また、人間の安全保障について理解すると、人道支援についての知識が更に深まります!
3. 最後に
記事の内容をまとめると以下のようになります。
- 人道支援を簡単に説明すると、「戦争や災害など、色々な理由で命が危険にさらされている人や、人としての権利が侵害されている人に対する支援」
- 人道支援には、人道原則、公平原則、中立原則、独立原則の4つの守るべき原則がある。
この記事を通じて人道支援について少しでも理解が深まれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
参考文献
*1 デジタル大辞泉
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