皆さんは国連(国際連合)・国際機関にまつわる「分担金」「拠出金」「出資金」の違いについて皆さんはご存知でしょうか?
この記事では上記3つの違いについてわかりやすく説明します。国際機関への各国の影響力などを考える上でも大切な知識です。
分担金(義務的拠出金)とは
分担金とは、国連憲章第 17条で規定されており、加盟各国が国連の各組織への支払いを義務付けられた予算を指します。
分担金は全加盟国が同じ金額を支払う訳ではなく、基本的には加盟国の「支払能力(Capacity to pay)」に基づいて分担率が決められます。簡単に言うと経済力のある豊かな国の分担金は高く、貧しい国の分担金は低くなるように調整されます。国連の場合、分担率は3年ごとに見直され、その間に発展した国はその分支払う金額が高くなり、災害や財政破綻などで経済的な打撃を受けた国は低くなります。
ちなみに2020年の国連通常予算の分担金比率の上位5か国は、下記のとおりです(参照元:外務省資料)。
- アメリカ 22%
- 中国 15%
- 日本 8%
- ドイツ 6%
分担金は「義務」なので、支払いが遅れると「滞納」扱いとなります。国連憲章19条によれば、国連総会がやむを得ない事情を認めない限り、滞納した国は2年以上支払いが遅れると国連総会での投票権を失います。ちなみに滞納が一番多いのもアメリカです。
拠出金とは
拠出金とは、正確には任意拠出金のことを指します。その名の通り、加盟各国がその国の政策上の必要に応じて任意に拠出を行うものです。国だけでなく個人の寄付などもこちらに含まれます。
各国はそれぞれ外交上重視する地域、分野に対して任意に資金を拠出します。例えば日本の場合、UNHCRの難民・国内避難民等の支援のための事業や、UNDPに対して多くの資金を拠出しています。
出資金とは
出資金とは、世界銀行など融資や投資を通じて途上国の発展や災害を受けた国を支援している国際機関に対し、各国が原資としてお金を出すことで支援を行うものを指します。つまり国際金融機関を通して、間接的に対象国に融資や投資を行っています。(直接お金のやり取りをせず金融機関を通して行うお金のやり取りを間接金融といいます)。
世界銀行やアフリカ開発銀行など金融系の国際機関が主に出資の形態を取っています。もちろん出資なので義務は無いですが、加盟国単位の出資のみで個人の出資は受け付けていないことがほとんどです。
3つの違いをまとめると
上記で説明した内容を表でまとめると以下の通りになります。
まとめ
この記事をまとめると下記のとおりです。
- 分担金・拠出金・出資金は、ともに国連が加盟国や個人から受取るお金
- 分担金は各加盟国が義務として支払うお金
- 拠出金は各加盟国がそれぞれの政策に基づいて任意に出すお金
- 出資金は各加盟国が、世界銀行などの金融系の国際機関が融資や投資をするために必要な原資として出すお金
分担金や拠出金、出資金は、国際的な評判や国際機関での影響力(世銀では出資金が総務会の投票数に影響します)とも結び付くため、各国の外交戦略を知る上でとても大切な数字です。こうした外交戦略に興味のある方は、まずは参考文献で紹介している日本の分担金や拠出金、出資金について勉強してみてはいかがでしょうか。また、国際関係論における自由主義(リベラリズム)の考え方を理解する上でもとても大切です。
リベラリズムって何?という方は下記の記事も是非参考にしてみてください。
【3分で読める】国際関係論ってどんな学問? 代表的な3つの理論についてわかりやすく説明します。
国連についてはこちらで解説しています!
【3分で読める】国際連合とは?~国連(UN)の活動内容、代表的な機関をわかりやすく解説します!~
国連に関連した日本の外交についてはこちらで解説しています!
【3分で読める】外交とは?~外交の定義、関係者についてわかりやすく解説します~
この記事を通じて皆さんの国際機関の予算の仕組に対する理解が少しでも深まれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
<参考文献>
国際連合広報センター 国連憲章テキスト
https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
外務省 よくある質問集
https://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/faq/un_summit/un.html
外務省 日本の財政貢献
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page22_001258.html
外務省 国際機関への拠出金・出資金等 一覧表(平成29年度・国際機関別)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/keitai/page22_001233.html
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