タイ国際協力機構(TICA)とは?
TICAは、タイが世界と協力して国や地域の発展を支える「国際支援の仕組み」の中核的な組織です。
1. TICAってどんな組織?
TICAは「Thailand International Cooperation Agency」の略で、タイの外務省のもとにある国際協力専門機関です。タイが得意とする技術・経験を活かし、他の国の社会・経済の発展を支援しています。
2004年に設立され、南南協力(途上国同士で教え合う協力)や、三国間協力(タイ+第三国+支援先)の枠組みを積極的に活用しています。
2. 何を大切にしているの?
TICAはタイ独自の開発哲学「Sufficiency Economy Philosophy(SEP)(足るを知る経済哲学)」を指針とし、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも配慮した支援を展開しています。
SEPは「慎ましさ」「理性」「知識」「誠実さ」を重視し、地域社会の持続可能性を育むアプローチです。
3. どんな活動をしているの?
- 人材育成・研修・奨学金付き講座
年に数千人分の研修や大学院奨学金制度(Thailand International Postgraduate Program、AITCなど)を提供。 - 専門家・ボランティアの派遣
医療や農業、公衆衛生などの専門家を海外に派遣し、直接支援を実施。 - 地域の開発センター設立
SEPを学ぶ「学びの場」を各国で設立し、モデルコミュニティづくりを推進。
4. 実際にどんな国と協力しているの?
カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムなどASEAN諸国のほか、アフリカや南アジア地域とも協力を展開。
東南アジアの都市鉄道、緊急医療技術、空気汚染対策、農業技術の研修など、プロジェクトは多岐にわたります。
5. 注目の協力例
- メコン地域での学びの場と技術共有
ASEAN開発フォーラムなどを通じて、農業や都市鉄道のノウハウを共有。 - PM2.5対策と教育支援
KOICA(韓国開発協力機構)と連携し、バンコクの学校に大気汚染モニターを寄贈。子どもたちの環境教育を支援。 - 東南アジアの緊急医療制度構築
カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム向けにEMT(救急救命技術者)研修を導入。
6. TICAとSDGsのつながり
TICAの活動は、SDGsの中の目標「人材育成」「健康・教育の改善」「持続可能なコミュニティづくり」と深く結びついています。
SEPとSDGsの融合により、地域の自立と持続可能性を長く支える支援を目指しています。
7. 将来TICAで働くには?
TICAで働くには、タイ語と英語の語学力、国際協力・教育・技術分野の知識、文化理解が求められます。文化交流や研修経験も役立ちます。
特に、ASEAN地域研究や国際教育・環境分野への関心は強みになります。
まとめ
TICAは、タイが自ら培った知識と経験を「教える側」に転換し、他国の成長に貢献しています。
「知識と経験を分かち合って共に成長する」というTICAの姿勢は、未来の国際協力のひとつのモデルです。
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