皆さんはイスラム教について、どのくらいご存知でしょうか??
アラブの人たち、女性はスカーフをかぶる、豚肉は食べない、等あると思いますが、この記事ではかなりマニアックなカール・マンハイムのイスラーム政治思想三類型を説明します。
1 イデオロギー型
存在を超越するが、各時代の社会に革命的な影響をもたらさずに吸収される観念。
ウラマーなどが積極的に加担し「ウンマ(イスラム教の共同体)」に基づく政教一致を基にした初期の考え方。イスラム法学者マーワルディーの「統治の諸規則」等に如実に見て取れる。例えば正統カリフの考えを基にした政治権力の継承やカリフ(イスラム国家最高権威者)の権限の委任(tafwid)。この考え方は近代においても影響を持ち、例えばエジプトのムハンマド・アブドゥやナセル時代にアズハルの改革をウラマーから支えたアズハルの総長であるマフムード・シャルトゥート、ムハンマド・タンターウィーなどによって用いられ、実際の政治に影響を及ぼしている。さらに現代でも中東各国でウラマーの政治への動因による統治の宗教的な正当性の確保やエジプト憲法第2条などで用いられている。
2 ユートピア型
存在を超越し、存在の構造をも破壊する方向で効果を上げる観念。
「ウンマ」から脱却し、政治敵領域が宗教から自立的に発展をしようとする考え方。古くは1200年代のイスラム法学者イブン・タイミーヤに始まる。彼は政治支配者は神から権力を預かりうけた者と考え、支配者は神に従わなくてはならないという。近現代においてはイスラム法学者ラシード・リダーが古典的なイマーム制(イスラム共同体の宗教的指導者)の復帰を論じる。特にイマームとイマームを選任する人をムジュタヒド(独自の法学見解を示す能力者)でなければならないとし、彼らが首相や法曹といった国家の重職に就くべきだと主張した。この流れはアルバンナー(ムスリム同胞団創始者)によってムスリム同胞団の運動へと引き継がれる。ただし、リダーがムジュタヒド(イスラム法上の法的な解釈決定を行う人)やウラマー(イスラム法学者)を主体とする政治変革を目指したのに対し、アルバンナーは平信徒の役割を重視した政治運動の組織化を図った点で両者は異なる。また、ムスリム同胞団の活動はサイードクトゥブの協力でさらに広がり、現在ではアルカラダーウィーに引き継がれている。
3 脱イデオロギー型
イデオロギー型、ユートピア型を共に相対化する考え方。
この思想はイスラム歴史学者イブンハルドゥーンの「歴史序説」などに見てとれる。彼はウラマーによるイデオロギー的政治思想やユートピア型の非現実性を示し、批判した。この思想は近現代においてはトルコの政教分離政策、アブドッラーズィクの「イスラームと統治の諸原則」におけるカリフ制のイスラーム的規範の根拠のなさについての主張、モロッコのアブドッラーアラウィーらによる古典的イスラーム史の批判的解釈などで受け継がれてはいるが、あくまで少数派であり、イデオロギー型、ユートピア型からは強い批判を受けている。
4 まとめ
イスラム政治思想は大きく3つに分かれること、法学がとても大事なものとして見られていることがわかったかと思います。法律に基づくという点は、近代国家とも似ている部分ですね!
この記事を通して少しでもイスラム教への理解が深まれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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