ILO(国際労働機関)は、働く人の権利を守り、世界中で「人間らしい働き方(ディーセント・ワーク)」を広めるための国際機関です。
1. ILOってどんな組織?
ILOは「International Labour Organization」の略で、1919年に設立されました。国際連合(UN)の専門機関の一つで、本部はスイス・ジュネーブにあります。
ILOの特徴は、政府だけでなく、労働者(労働組合)と使用者(企業の代表)が参加する三者構成です。これにより、現場の声を国際ルールに反映できます。
2. 何を大切にしているの?
ILOが掲げるのは「ディーセント・ワーク(人間らしい働き方)」。誰もが安全に、公平に、差別なく働ける社会を目指しています。
特に次の4つの基本原則を重視しています:
- 強制労働の禁止
- 児童労働の廃止
- 差別の撤廃
- 団結権と労働組合活動の自由
3. どんな活動をしているの?
- 国際労働基準(条約・勧告)の作成
世界中の働くルールを整備し、加盟国に批准や改善を呼びかけます。 - 技術協力・現場支援
児童労働削減プロジェクトや、社会保障制度の整備支援などを行います。 - 調査・研究・統計
世界の雇用状況や労働市場データを集めて発信し、政策づくりに役立てます。
4. 実際にどんな国で活動しているの?
ILOは世界187の加盟国と協力して活動しています。アジア、アフリカ、南米など、発展途上国での支援が特に多いです。
例えば、バングラデシュの縫製工場での安全改善、アフリカの児童労働削減プログラム、南米での職業訓練支援などがあります。
5. 注目の活動例
- 児童労働ゼロを目指す国際キャンペーン
世界の子どもたちが学校に通えるように、労働から守る活動を実施。 - バングラデシュの工場安全プロジェクト
ラナ・プラザ崩落事故を受け、工場の建物安全や労働条件の改善を支援。 - 難民や移民の職業訓練
紛争地域から逃れた人々にスキルを提供し、就労を支援。
6. ILOとSDGsのつながり
ILOの活動は、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に直結しています。また、貧困削減(目標1)、教育(目標4)、不平等是正(目標10)にも貢献します。
7. 将来ILOで働くには?
ILOで働くには、次のような力や経験が役立ちます:
- 英語+フランス語やスペイン語など国際公用語の能力
- 国際関係、公共政策、経済学、労働法などの学習
- 国際機関・NGO・労働関係機関でのインターン経験
- 現場での調査・プロジェクト運営経験
若手向けにはインターンシップやジュニアプロフェッショナル(JPO)制度があり、国連キャリアの入口になります。
まとめ
ILOは、働く人の権利と安全を守る国際機関です。
「世界中の働く環境をよくしたい」「児童労働や格差をなくしたい」という思いを持つ人にとって、ILOは大きな活躍の場となります。
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