公共政策学とPublic Administration(行政学)の違いとは?

2025年7月29日火曜日

政策

t f B! P L

 



「公共政策」「行政」「ガバナンス」―― これらの言葉は似ているようで違います。
中でも、公共政策学とPublic Administration(行政学)は、共通点がありながらも異なるアプローチを持つ学問分野です。

1. まず定義から見てみよう

◆ 公共政策学(Public Policy)とは?

公共政策学は、「社会の課題をどうやって解決するか」という視点から政策の立案・評価・改善を考える学問です。
特に、経済学・政治学・法学・社会学などを使って、政策の妥当性や効果を分析します。

  • 例:こども食堂の支援は貧困問題に効果があるか?
  • 例:炭素税の導入で温室効果ガスはどれだけ減るのか?

◆ 行政学(Public Administration)とは?

行政学は、「政策をどう実行し、行政組織をどう動かすか」という視点から、政府・自治体・官僚制度を研究する学問です。
組織論・マネジメント論・倫理・法制度などが重要なテーマです。

  • 例:市役所の窓口業務をもっと効率化するには?
  • 例:官僚制度の中立性はどう保たれるのか?

2. 比較表:違いをざっくり整理

項目 公共政策学
(Public Policy)
行政学
(Public Administration)
主な関心 政策の立案・評価・改善 行政機構の運営・組織管理
分析の視点 経済学、政治学、統計学、社会学 組織論、管理学、法制度、倫理
目指すもの よりよい政策づくり 効率的・公平な行政運営
想定する職業 政策アナリスト、シンクタンク、国会議員補佐 公務員、行政官、自治体職員、NPO経営

3. なぜ混同されがち?

この2つは、どちらも「政府が社会にどう働きかけるか」をテーマにしており、重なる部分も多いため混同されがちです。
実際、大学のカリキュラムでも同じ学部・学科で扱われることが多く、現場では政策と行政は一体となって動いています。

4. 実際の現場ではどう違いが出る?

例えば「子どもの貧困対策」を考えるとき:

  • 公共政策学:支援制度の効果をデータで分析し、改善案を提言する
  • 行政学:その支援制度を実際に運営し、申請の流れや人員体制を設計する

つまり、政策を「考える」のが公共政策学、「動かす」のが行政学とも言えるでしょう。

5. 海外の事情:アメリカではどう違う?

アメリカでは大学院で明確に区別されており:

  • MPP(Master of Public Policy):政策分析の専門職養成
  • MPA(Master of Public Administration):行政運営の専門職養成

ただし、実際の業務では両方の視点が求められるため、学際的に学ぶ人も多いです。

6. 日本で学ぶには?

日本でも多くの大学でこれらを学ぶことができます。たとえば:

  • 東京大学公共政策大学院(GraSPP)
  • 政策研究大学院大学(GRIPS)
  • 早稲田大学大学院公共経営研究科(WBS)
  • 地方大学の公共政策・地域行政専攻

学部では法学部・経済学部・総合政策学部などで、行政・政策関連の授業を選ぶとよいでしょう。

7. まとめ:政策と行政、どちらも「公共のため」

公共政策学と行政学はどちらも、公共の利益=みんなの幸せを実現するための学問です。

「なぜこういう制度があるのか?」「どうすればより良くなるのか?」と考える力は、社会を変える第一歩。 どちらを学ぶにしても、「よりよい社会」を目指す視点を忘れずにいたいですね。


※この記事は教育・キャリア支援目的で作成されています。ご自由に教材としてご活用ください。

サイト内検索

最新の記事 new pages

公共政策学とPublic Administration(行政学)の違いとは?

アーカイブ

Translate

QooQ