私たちが住むこの宇宙は、どんなふうに始まったのでしょう?「なぜ物質が存在するのか」「宇宙には何があるのか」──そんな根本的な疑問を調べるために、ヨーロッパに作られた特別な研究所が CERN(セルン) です。
1. CERNってどんなところ?
CERNは、「欧州原子核研究機構」と呼ばれる国際研究機関で、1954年にスイスとフランスの国境近くに設立されました。現在ではヨーロッパを中心に20以上の国が協力し、世界最大の素粒子物理学研究所として知られています。
目的はとてもシンプルでありながら壮大です。「この世界がどのようにできているか」を科学で明らかにしようということです。
2. 「素粒子」ってなに?
CERNでは、「素粒子(そりゅうし)」という、とてもとても小さな物質を研究しています。素粒子とは、私たちの体や空気、水、そして星や銀河まで、すべての物質を形づくる最も小さな「つぶ」のことです。
例えば、私たちがよく聞く「電子」や「陽子(ようし)」、そして「ヒッグス粒子」などが素粒子です。
3. 超巨大な実験装置「LHC」
CERNには「LHC(大型ハドロン衝突型加速器)」という、世界最大の粒子加速装置があります。地下約100メートル、全長27kmにもおよぶトンネルの中で、素粒子を光のスピードに近い速さで動かし、ぶつけて実験をしています。
この実験により、2012年には「ヒッグス粒子」を発見。これは宇宙の成り立ちを説明する「標準理論」の中でも、とても重要な部分でした。この発見により、研究者たちは2013年にノーベル物理学賞を受賞しました。
4. どうやって実験してるの?
LHCで素粒子同士を高速でぶつけると、エネルギーがとても高くなり、新しい粒子が現れることがあります。ぶつかったときに出る粒子の動きや種類を、何千ものセンサーで細かく観測します。
このデータを使って、「見えない世界」を理論と照らし合わせながら解明していきます。中には、ダークマター(暗黒物質)や反物質といった、SF映画のようなテーマもあります。
5. CERNはどうやって社会と関わっているの?
宇宙のなぞを調べるだけではありません。CERNの研究からは、医療やITの分野にも役立つ技術が生まれています。
- がん治療に使われる陽子線治療技術は、もともと粒子加速の技術から生まれました。
- インターネットの生みの親もCERN!研究者同士が情報を共有するために、1990年代に「WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)」が開発されました。
6. 誰が働いているの?
CERNでは、世界中から集まった約10,000人以上の研究者や技術者が協力しています。日本からも多くの大学や研究機関が参加しており、高校生や大学生が訪問するプログラムもあります。
7. 中学生にできることは?
- 理科(特に物理)や数学をしっかり学ぶ
- 英語やフランス語など外国語を身につける
- 宇宙・物理のニュースや本にふれる
- CERNのYouTubeや公開講座を見てみる
まとめ
CERN(セルン)は、世界で最も進んだ物理学の研究所であり、「宇宙の始まり」や「物質の正体」などのなぞを解こうとする冒険の場所です。私たちが使っているインターネットも、がん治療も、そんな研究から生まれた成果です。
科学にワクワクするみなさん、ぜひCERNの世界にふれてみてください!
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