学術研究や政策、ビジネスの世界でも近年頻繁に用いられる統計ですが、相関や因果関係について明確に理解できているでしょうか?この記事では相関と因果関係について説明し、疑似相関を防ぎ確実な因果関係を導くのに必要なポイントを分かりやすく解説します!
相関関係と因果関係の違い
相関関係、因果関係はそれぞれ下記の意味を持ちます。
相関関係:
相関関係は、2つの変数が統計的に関連していることを示しますが、一方がもう一方に直接の影響を与えているわけではありません。例えば、「雨が降ると傘の売上が増える」という関係があります。これは統計的な相関があるかもしれませんが、雨が降ったからといって、傘の売上が増えるわけではありません。他にも、太陽が昇ると日が昇ることとの相関もありますが、これは因果関係ではありません。
因果関係:
一方の変数が他方に直接的な影響を与え、原因と結果の関係がある場合に因果関係があります。例えば、「太陽が昇るから日が昇る」というのは因果関係です。太陽の昇ることが日の昇る原因であり、逆は成り立ちません。
つまり、相関関係があっても因果関係がない可能性があります。統計的なデータで相関が見られた場合でも、それが直接の因果関係を示すわけではないことに留意する必要があります。
疑似相関
因果関係にたどり着く際に特に気をつけなければならないことの1つが、疑似相関です。疑似相関は、見えない要因によって因果関係がないにもかかわらず、相関があるように見える現象です。例を挙げて説明しましょう。
例:アイスクリームの売上と水難事故の数
夏になるとアイスクリームの売上が増え、同時に水難事故の数も増えるように見えます。これらのデータから「アイスクリームの売上と水難事故は関係があるのでは?」と疑似相関が生じる可能性があります。しかし、実際には気温が上がる夏になると人々はアイスクリームを買う傾向があり、同時にプールや海で水に触れる機会も増えます。ここでの共通要因は「気温」であり、気温の影響を考慮しないと、見かけ上の相関が生まれます。このように、疑似相関では見かけ上の関連が実際の因果関係ではなく、別の要因が影響している可能性があります。
疑似相関の原因は、通常、見えない要因によるものです。これらの要因が統計的なデータに影響を与え、二つの変数間に相関があるかのように見せかけます。主な原因として以下の点が挙げられます:
交絡因子(Confounding Factors):
他の要因が関与している場合、それが疑似相関を引き起こす可能性があります。例えば、アイスクリームの売上と水難事故の数の相関が高い場合、気温が交絡因子として機能している可能性があります。
サンプルサイズの影響:
小さなサンプルサイズでは、偶然の一致が相関として見えることがあります。大きなデータセットでない限り、これらの相関は信頼性に欠ける可能性があります。
観測バイアス:
特定の観測が他よりも頻繁に行われる場合、その影響がデータに歪みを生じ、疑似相関が発生することがあります。
これらの要因を注意深く考慮せずに相関を解釈すると、本当の因果関係がないにもかかわらず、見かけ上の相関があるように錯覚することがあります。
疑似相関や相関関係だけに惑わされず、因果関係を導き出すには
特に下記のことを意識しながら分析結果を確認することで、適切に因果関係を導き出すことができます。
データの裏にある背景を考える:
調査やデータの結果だけでなく、背後にある背景や状況も考慮する。例えば、特定の条件や環境の変化が影響している可能性がある。
他の要因も考慮する:
考えている2つの事柄以外にも影響を与える要因がないか確認する。他の要因があると見かけ上の因果関係が実はそうではないことがあります。
周辺のデータも見る:
同じテーマに関する他のデータや調査結果も見てみると、より正確な因果関係を導き出しやすくなる。
十分なサンプル数を確保する:
調査対象やデータが十分でないと、正確な因果関係を見つけ出すのが難しい。大量のデータを用意することが重要です。
常識やドメイン知識(分野の専門知識)を活かす:
その分野に詳しい知識や常識も活かすと良い。何が本当に因果関係に影響しているのかを理解するのに役立つ。
まとめ
いかがだったでしょうか?この記事で少しでも因果関係の導き方や相関関係との違いについて理解が深まれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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