「世界遺産を登録したのはユネスコです」
そんな言葉をニュースで聞いたことはありませんか?
でも実は、ユネスコ(UNESCO)の仕事は世界遺産だけではありません。
教育や科学、文化を通じて、世界をもっと平和で持続可能にすることを目的とした国連の機関なのです。
1. UNESCOってどんな機関?
UNESCOは「United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization」の略で、「国際連合教育科学文化機関」という意味です。
1945年、第二次世界大戦の終わりに「戦争は人の心の中で始まる。だから平和も人の心の中につくらなければならない」という理念のもと、フランス・パリに本部を置いて設立されました。
2. どんな仕事をしているの?
UNESCOの活動はとても広く、主に以下の4つの柱があります:
- ① 教育: 世界中の人が教育を受けられるように支援
- ② 科学: 環境・地球科学・水資源などの国際的な協力
- ③ 文化: 文化遺産の保護や多様性の尊重
- ④ 自由な情報の共有: 表現の自由やメディアの発展を支援
教科書や図書館の支援、文字を読めない人への教育、地震や津波の予測システムなどもUNESCOの仕事です。
3. 世界遺産とは?
最もよく知られている活動のひとつが「世界遺産」の登録です。
世界遺産には次の3つがあります:
- 文化遺産: 古代遺跡・歴史的建造物(例:姫路城、万里の長城)
- 自然遺産: 特別な自然の景観(例:白神山地、グランドキャニオン)
- 複合遺産: 文化と自然の両方の価値がある場所
世界中の宝物を守るため、各国政府と協力して保護・修復・教育活動を行っています。
4. 教育への取り組み
UNESCOは「すべての人に教育を」という目標を掲げ、学校に通えない子どもや、読み書きができない大人を支援しています。
具体的には:
- 読み書きのトレーニング(成人識字教育)
- 先生の育成、教材の作成
- SDGs(持続可能な開発目標)に対応した教育
気候変動や平和、ジェンダー平等など、これからの地球を守るために必要な教育にも力を入れています。
5. 科学で世界をつなぐ
水不足や気候変動などの課題は、1つの国だけで解決するのは難しい問題です。
UNESCOは、国をこえて科学者が協力できるように、国際会議や研究ネットワークを作っています。
また、海や山、砂漠などの自然と共に生きる「人と自然の共生」を目指す生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)の登録も進めています。
6. 文化の多様性を守る
文化とは、言葉、祭り、伝統、芸術などその国や地域の「生き方」です。
UNESCOは、言語の絶滅を防いだり、伝統音楽や舞踊を記録・保存するなど、文化の多様性を尊重し、未来に伝える活動もしています。
例:日本の「和食」や「能楽」なども無形文化遺産として登録されています。
7. 日本とUNESCO
日本は1951年にUNESCOに加盟し、教育や文化を通じて国際協力に参加しています。
- 世界遺産:富士山・白川郷・広島平和記念碑など
- 無形文化遺産:和食、和紙、歌舞伎など
- ユネスコスクール:全国で11,000校以上が加盟
日本の学校でも「平和教育」や「持続可能な社会づくり」を学ぶ中で、UNESCOの考え方が活かされています。
8. 将来UNESCOで働くには?
UNESCOで働くには、次のようなスキルや経験が役立ちます:
- 国際関係・教育・環境・文化に関する知識
- 英語やフランス語などの語学力
- 国際協力やNGOでの経験
大学・大学院で学んだり、インターンをしたりすることで、UNESCOへの道を開くことができます。
まとめ
UNESCOは、「世界遺産」だけでなく、教育・科学・文化を通じて世界をよりよくするために働く国連の機関です。
「平和は人の心の中からつくる」―
この考え方は、私たちが身のまわりの人とどう接するか、小さな行動にもつながっています。
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